【哲学史 その5】エンペドクレスの登場 元素の考え

【哲学史 その5】エンペドクレスの登場 元素の考え

前回:【哲学史 その4】ヘラクレイトスとの対立 パルメニデス 【万物は変化しない】

相反する、ヘラクレイトスとパルメニデスの主張。そんな中登場したのがエンペドクレスです。

B.C.450年頃 エンペドクレスの登場

ヘラクレイトスの「万物は変化する」

パルメニデスの「万物は変化しない」

哲学史は、この相反する二つの哲学を統合する必要に迫られていました。そしてそれをやり遂げたのが、エンペドクレスでした。

エンペドクレスは哲学者であり、詩人であり、医者でありさらには民主政治を導いた偉大な政治家でもありました。そして呪術的な能力を持った宗教家でもあったのです。

エンペドクレスの考え

様々な面を持ったエンペドクレスはこのように考えました。

「存在しているものは決してなくなりはしない。水は、どこまで小さくしても水であるし土も、どこまで小さくしても土のままである。

しかし実際には多様なものがこの世には存在している。

ならば万物には、決して変化することのない最小の単位(元素)が存在し、それらがくっついたり離れたりして多様なものが見えるのではないか。」

この考え方であれば双方の意見、どちらも正しいといえます。例えば色というものもそうである。

絵画などは、とても複雑な色がたくさんあるように見えるが実際には「赤」「青」など数種類の色の原色といわれるものの組み合わせにすぎません。

それらを混ぜ合わせることにより多種多様な色彩がそこに現れるのです。

しかし、「赤」「青」というもの自体が変化しているというわけではありません。

エンペドクレスは

「元素には複数の種類が存在し元素が変化することはないがそれらが結合したり、分離したりすることにより人の目には変化したり消えたように見える。」

という考え方を示しました。

確かにこのように考えればヘラクレイトスの意見も、パルメニデスの意見もどちらも矛盾なくすっきりまとめることができます。

元素という概念

当時、エンペドクレスは元素には4つのものがあると考えていました。「火」「水」「風」「地」の4つでした。

エンペドクレスはこう述べています。

「万物は火・水・風・地の4つの元素からなり、その元素は愛や憎しみによって結合・分離する」

ここで重要なのは、結合の原因として「愛」分離の原因として「憎しみ」という概念を出してきたことです。愛とは、「引力」であり、憎しみとは「斥力」です。

複数の元素が、引力や斥力などの力によって運動を行うことで、この世界は成り立っているという現代に通じる世界観を述べたのです。

次回:【哲学史 その6】哲学の祖 ソクラテス 無知の知